食品の売れ残り・野菜くずのたい肥化から栽培利用へ
食品リサイクル・ループの実践
大阪いずみ市民生活協同組合
事業活動で発生する食品残さのたい肥化から、そのたい肥を利用した野菜の栽培・販売まで完結する食品リサイクル・ループの取組みについて紹介します。
大阪いずみ市民生活協同組合
事業活動で発生する食品残さのたい肥化から、そのたい肥を利用した野菜の栽培・販売まで完結する食品リサイクル・ループの取組みについて紹介します。
この取組みを始める前は、魚あらや食用油の一部を除き、多くの食品残さを廃棄していましたが、2007年に食品リサイクル法が改正され、業種ごとに再生利用の目標値が定められたことがきっかけとなり、その目標達成に向け本取組みを開始しました。
更に社会情勢の変化に伴い、2017年に「SDGsに対する基本方針」を掲げ、生協が果たすべき役割は何かを問い続け、様々な取組みを進めてまいりました。いずみ市民生協では現在、将来世代に持続可能な社会を残すため、SDGsの達成を含む「2030ビジョン」の実現に挑戦しています。
店舗の売れ残り食品や農産加工センターで発生する端材などの食品残さを、たい肥化施設でリサイクル、そのたい肥を利用し、農園で栽培・収穫した野菜を店舗や宅配で、再び商品として販売する「食品リサイクル・ループ」を構築しています。
たい肥化に向けては、食品残さの選定に試行錯誤を重ねるなど、作物が育ちやすいたい肥になるよう工夫してきました。
事業開始当初は、例えばヨーグルトは水分が多くたい肥化に適さないことが分かるなどの苦労を重ね、現在の形に至っています。
また、遠隔地での実施は運搬による環境負荷が増加することから、大阪南部の同じ地域内でたい肥化、栽培、販売を完結することにより、物資の運搬時に発生するCO2の排出削減につながります。
加えて、農地については、耕作放棄地をお借りして、土づくりから始めています。石だらけの土地の石をとって、土づくりをするには1年ほどの期間がかかることがあります。耕作放棄地の有効利用にも貢献し、地域社会とのつながりも大切にしています。
事業開始前の2009年度の食品リサイクル率は7.1%でしたが、取組み開始初年度では26.2%、直近の2022年度は、食品リサイクル率が57.4%に向上するとともに、食品残さの廃棄量を約382トン削減することができました。
また、実施にあたり、リサイクル会社と農業生産法人を新たに設立。両社ともに障がい者の方にメインで働いていただき、自立支援に貢献しています。このことで、農林水産省が実施する「ノウフクアワード 2021」を受賞し、地域社会との結びつきや共生社会の実現との観点でも評価いただいています。
いずみ市民生協では、食品リサイクル・ループの他に、リデュースの取組みとして、店舗での発注精度の改善によるごみの発生抑制や、宅配のキャンセル商品などのうち、まだ食べられるものを子ども食堂などへ寄付する仕組みも構築しています。 今後も「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」をキーワードとした「持続可能な社会」の実現にむけて、様々な取組みを進めていきます。